美容院と床屋は同じではありません

おしゃれなリビングルーム

美容院と美容室は「院」と「室」の一つの文字が違うだけ。何が違うのかわからない人も多いでしょう。「床屋」はイメージ的には男性が髪の毛を切ってもらう場所と思います。美容院と美容室はどちらかと言いますと女性向けの店舗ではないでしょうか。

しかし、最近のお洒落男子は美容院で髪の毛をカットしてもらうケースも多いでしょう。こうなってくるとますます混沌(こんとん)としてきます。ですが、ちゃんと法律で決められているのです。それぞれのサービスの内容も違うのです。美容院や美容室や床屋は何が違うのでしょうか。どんなサービスを受けられるのかとか、どのように使い分ければいいのかも知っておきましょう。

美容院と美容室、どんなところなのか?まずはここから整理してゆきましょう

カラフルなヘアーのマネキン

美容院と美容室はどのように法律で規定されているのでしょうか?どんなサービスを提供してくれるのかを順番に説明します。

美容院と美容室の違い

「美容院」と「美容室」の二つの表記があります。「院」と「室」だから字面の印象からみたら規模の違いがあるように感じます。しかし、そうではありません。実際のところ、この両者に違いはありません。例えば辞書で調べてみましょう。

「美容院」は掲載されているけれども「美容室」は掲載されていない辞書もあります。美容院や美容室を規定する「美容師法」では「美容院」という単語も「美容室」という単語もでてきません。でてくるのは「美容所」です。美容の業を行うために設けられた施設として定義されているのです。つまり、美容所の表現方法を違えているだけで、両者に区別はないのです。では、美容所にしておけばいいのでしょうが、何となく「ダサイ」言葉の響きがあるのでしょう。

美容院と美容室と法律視点で考えます

この両者・美容院・美容師を規定するのは「美容師法」という法律。ここで美容師法の説明はしませんが、簡単にまとめると次のような内容です。

(1)定義
パーマネントウェーブ・化粧・結髪などの方法によって容姿を美しくする仕事……これが美容師です。美容師は美容師法に基づいて厚生労働大臣の免許を取得しなければなりません。美容師免許の有資格者でなければ美容師の仕事をしてはいけません。女性にカットするのは美容行為になります。ヘアカラーも理容行為・美容行為に含まれているのです。
(2)美容師免許
この資格は国家資格になっており、基本的には厚生労働大臣の指定した美容師養成施設で必要な実習や学科を修了したあと、美容師試験に合格した人だけに免許が与えられるのです。
(3)美容所
美容師は基本的には美容所で美容の仕事をしなければなりません。疾病などによって美容所に来られない者に対して行う場合もありますし、婚礼の儀式に参列する人に対して儀式の直前にする場合があります。その場合は都道府県が条例で定めている場合に限っては出張することが認められています。
美容室や美容院は美容免許を持った美容師が、パーマやヘアカラーやカッティングによって外見・ルックスを綺麗にしてくれるところです。では、床屋とはどうなんでしょうか。

床屋ってどんなところ?

髪の毛を整えてもらう黒人男性

これまでの調査で美容院は美容室についてはご理解いただけたでしょう。床屋はどうなっているのかを解説します。

床屋と理容師法について

美容院や美容室を規定する法律は「美容師法」でしたね。床屋の場合は「理容師法」と呼ばれる法律が適用されます。「美容師」と「理容師」の違いです。一般的には「床屋」とか「理容室」と呼ばれますが、「理容師法」では「理容所」の名前で定義されています。

要旨を整理しておきましょう。

(1)定義
理容師は「頭髪の刈り込みや顔そりなどの方法で容姿を整えること」を仕事にしている人です。理容師法に基づいて厚生労働大臣の免許を得る必要があります。理容師免許を持たない人は理容師として働けません。これは美容師と同じですね。髪の毛を染めるヘアカラーも理容行為に含まれています。
(2)理容師免許
理容師免許も美容師免許と同じで国家資格となります。厚生労働大臣が指定している理容師養成施設で必要な学科や実習を修了したあと、美容師試験に合格した人に免許が与えられることになります。
(3)理容所
基本的に理容師は理容所で理容行為をしなければならないと規定されています。これも美容師と同じですが、病気や怪我で理容所にお越しいただけない人に対して行ったり、結婚式などの儀式に参列する人に儀式の直前に行ったりする場合は、その当道府県が条例で定めている場合に限って出張することができます。
このように見ていると基本的に美容師と理容師には大きな違いがありません。唯一の違いは「頭髪の刈り込み・顔そりの方法によって容姿を整えること」ですね。剃り刃を使って顔のシェービングができるのが、理容師で美容師はできないのです。

美容師と理容師の違いとは?

ヘアロッド

美容師が仕事をするところは美容院や美容室です。理容師が仕事をするところが床屋なのです。業務内容を比べてみても大きな違いがありません。では、その業務内容について、もう少し説明をします。

従来の法律

2015年(平成27年)7月に厚生労働省がルールを緩和しました。それまでは男性は美容師にカットしてもらうことを禁止されていました。1978年(昭和53年)の法律では「美容師が男性にカットのみのサービスを提供することは禁止」だと定めていたのです。同様に「理容師が女性にパーマをすることは禁止」になっていたのです。こういった法律が長くありましたので、【男性は床屋・女性は美容院や美容室】というイメージになってしまったのではないでしょうか。

ルールが見直されて緩和されました

従来の法律では簡単に言いますと、性別によって髪の毛を整える場所を限定していいたのです。しかし、皆さまも感じているように「時代遅れじゃないか」という意見が大半を占めました。法律の規定が実情に合っていないと指摘されたのです。厚生労働省は2015年(平成27年)7月に美容師法・理容師法を見直して、ルールを緩和する通知を出しました。これによって、男性が美容師にヘアカットをしてもらうとか、女性が理容師にパーマをかけてもらうことが可能になったのです。

美容師の仕事と理容師の仕事は違います

「美容師法」と「理容師法」で規定されている仕事の内容は変わっていません。
・美容師の仕事=パーマネントウェーブ・結髪・化粧などの方法によって容姿を美しくすること
・理容師の仕事=頭髪の刈り込み、顔そりの方法で容姿を整えること

理容師と美容師の仕事でできることは、相変わらず違っています。美容師が剃刀を使って顔そりはできません。女性が顔そりをしてほしければ、美容院ではなくて床屋に行かなくてはなりません。理容師がヘアセットやメイクもできないのです。そして、美容師と理容師は同じ店舗で働くこともできないのです。

理容師と美容師の今後はどうなるのでしょうか

2015年(平成27年)の法改正によるルールの緩和により、美容師と理容師は相互に近づいてきているのは事実です。従業員が美容師免許と理容師免許の両方を取得しておれば、同じ店舗で働けますね。

しかし、実際に美容師免許も理容師免許も取得するのは、かなりハードルが高いのです。これを解消するために厚生労働省は片方の免許を持つ人が、もうひとつの免許を取りやすくするように議論が進んでいます。

美容院や美容院は月曜日や火曜日が定休日が多い理由?

サインポール

美容院は月曜日や火曜日が定休日が多い理由ですが、これは電力供給がまだ十分でなかった時代の名残なのです。第2次世界大戦の頃の日本は電気の供給が不安定でした。そのために「休電日」を設定していたのです。電気の供給がストップする日があったのです。その曜日が月曜日とか火曜日だったのです。

その当時のパーマをするには大量な電気が必要な方法がメインでした。美容院や美容室は電気を大量に使う場所だったのです。けれども途中で電気を止められてしまうと営業ができません。だから、美容院は休電日に合わせて店舗を休みにしたのです。そのことが月曜日や火曜日が定休日になった始まりだったのです。

関西では月曜日が定休日・関東では火曜日が定休日になっているのは何故?

所属している組合の違いで定休日が違います。美容連合会(正式名=全日本美容業生活衛生同業組合連合会)は昭和33年(1958年)3月25日・厚生大臣に認可されて設立しました。公的な全国規模の団体です。会員数の合計は8万件を超えており、美容業界では最大の団体になっています。

美容連合会の組合は全国47都道府県ごとにあります。組合の方針によって関西の組合に所属している店舗は月曜日を定休日に設定しています。そして、関東の組合に所属している店舗は火曜日を定休日に定めているのです。

なぜ関西の組合が月曜日なのでしょうか?どうして関東の組合は火曜日なのでしょう。これも実は休電日の名残です。関西では休電日が月曜日で関東は休電日が火曜日でした。

美容院の「院」と美容室の「室」では雰囲気が違うのでしょうか?

ヘアメイクしてもらうモデル女性

前述しておりますが、美容院も美容室も美容所であって、言い方が違うだけでした。説明がはっきりしているとスッキリした気分になります。では、どうしてそのようなネーミングにしているのでしょうか。

「院」という単語を調べてみると「貴人の邸宅や別荘」であったり、「寺・学校・官公庁などの施設とか組織」と定義されていたりします。もともとの意味は「垣に囲まれた大きな建物」のことですね。高貴な人物が暮らしているお屋敷や公的な施設や宗教施設に対して使われる言葉なのです。だから、美容室よりも美容院のほうが、少しですか格式が高いニュアンスになるのです。

美容室という名前を店舗名につけている場合は、こういったワンランク上の格式を狙っているのでしょう。美容系の店舗はイメージ戦略もあるのです。

一方の美容室の「室」はどうでしょうか。これは「部屋」という意味ですから、こじんまりとしたイメージになります。親しみやすさを感じる印象になるのです。美容室と店舗に名前をつけているところは比較的小規模な店舗が多いです。フレンドリーさを強調したいという経営者の願いが込められているのでしょう。

こんな違いを知っておけば、美容室や美容院を見るときの楽しみも増えてくるのではありませんか。もうひとつ「ヘアーサロン」という言葉もあります。この場合は美容室や美容院の区別はありません。全ての美容室や美容院・床屋に使えるのです。さすがは英語ですよね。理容と美容と分けているのは日本独特の習慣です。海外では「美容」も「理容」も区別を明確にしていません。でも、良く考えたら「理容所」という名前をつけている店舗を見たことがありませんね。

まとめ

薄い紫色の髪の毛の女性

いかがでしたでしょうか?

美容室・美容院とはどんなところなの?美容院・美容室の基礎知識をご紹介しました。それぞれ微妙に違うことがご理解いただけたと思います。それとなしに使っている言葉ですが、これでスッキリしたのではないでしょうか。これ以外に興味深い方法を別ページで随時ご紹介してまいります。